誰もがいつの時代でも必要とするウェルネスですが、ゆったりとした動きながら、時代に合わせて流行は変化します。第2回からは、2007年から毎年行っている「電通ウェルネス1万人調査」の結果をもとに、最近のウェルネストレンドをご紹介したいと思います。
最近増えている「非積極層」
この調査では、対象者である20代から60代までの男女1万人を、それぞれの持つ健康意識から得られた特徴で、8つのクラスターに分けています。このうちの「非積極層」と呼んでいるクラスターのボリュームが年々増加してきていて、2012年についに半数を超え、マーケティング上、無視できない勢力になりました。
60以上の選択肢があるにもかかわらず、意識を問うどの項目もあまり当てはまらない。目立った健康行動も特にしていない。ただし、悩みや症状などはそれなりにあって、自分ではそこそこ健康意識が高い方だと思っている。このような「非積極層」はいったいどうウェルネスに向き合っているのでしょうか?
キーワードは「どうせなら」
そのヒントは時代背景にありました。ひとつは「節約行動」。調査でいうと「1カ月以内に飲用した商品」のスコアが軒並み減っていたのです。水筒を持っている人が多いのもこの影響かもしれません。2つめは「予防意識の高まり」。高齢化による医療費問題など、日本が抱える健康課題はこの先も深刻化していくことが予想されます。それに伴い、情報発信者も増えましたし、受け取る側もこの手の話題への感度が高くなっています。
3つめとしては「解決法の多様化」が挙げられます。健康に対する関与が低い人から高い人まで、大きく開いた格差にも対応できるように商品とサービスのバリエーションが増えています。このことは、人々の健康行動の選択肢を増やし、日常に取り入れやすくする手助けとなっています。ヒントとなるこの3つの背景から、「意識は低くないけれど、出来ないことはしない。身の丈に合った範囲でなんとなく健康に取り組んでいる」という「非積極層」の状態が見えてきました。
多くの「非積極層」を生み出す、このようなウェルネスの空気感に「どうせなら」という名前を付けました。日常的に「どうせなら健康に良い方がいいか」という感覚で商品を選び、ものすごく体に悪いこともしない。そのことが免罪符となって、気持ち的にも、身体的にも、時々してしまう不摂生がある程度なら許される、それがイマドキに多いヘルスケア・スタイルなのです。
ヒット商品の「いまむかし」