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これまで、ワカモンの交流関係やお買いもの意識についてみてきました。今回のテーマは「親子関係」。彼らと親との関係は、昭和のころにあった「親=威厳の象徴」で命令関係から「親=仲良しの友達みたいな存在」へと変質してきています。

母と娘で一緒に服を共有する。父と息子で休日に遊びに出掛ける。そんな友達みたいな関係の親子は、1990年代半ばころから顕著に増えてきたといわれています。

内閣府が2011年に実施した親と子に生活意識に関する調査では、家庭の雰囲気について「あたたかい雰囲気である」と答えた人が90.5%。また、同じく内閣府が実施している国民生活に関する世論調査(20代)で見てみると、家庭の役割を「だんらんの場」「やすらぎの場」「絆を深める場」として意識すること自体高まっている傾向にあります。

そして、イマドキの主流である温かい雰囲気の家庭環境の中で、4割のワカモンが親との関係は友達みたいだと答えています。親との時間を大事にしたうえで、友人関係のようなフランクな関係性の中で育っているようです。

では、実際に親子でどんな場所に一緒に行き、何をしているのでしょうか。たとえば高校生男女を見てみると、大型ショッピングセンター(54.4%)、ファストファッションのお店(50.7%)、百貨店(50.5%)などの商業施設には、同性の友人よりも"ママ"と一緒に行くという結果がわかってきました。

特に女子高校生はママとの行動に積極的です。都内の女子高校生に聞いたところ、「一緒に美容室やまつげエクステなど美容のお手入れに行く」「洋服や靴を一緒に買ってシェアしたりすることは普通」「ママは気を遣わなくて楽。好みもわかっているし」と、ママとの関係は心を許した友達以上である様子。好みをわかり合っている分、友達よりも気楽であるという側面もあるようです。

第4回まで見てきたとおり、学校や職場など家庭の外では気遣いモンスターであるワカモンたち。家庭では両親、特に母親が、「親として」だけではなく「友達として」も欠かせない、気が抜ける存在になりつつあるのです。

ワカモンを見れば、新しい明日や新しい変化の兆しが見えてくるかもしれません。

「若者研究部(電通ワカモン)」のフェイスブックページを立ち上げました!
http://www.facebook.com/wakamon.dentsu

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著者

西井 美保子

西井 美保子

株式会社 電通

数々の企業への経営・事業コンサルティングを行いながら、「電通若者研究部」(https://dentsu-wakamon.com)に所属。著書に、「パギャル消費~女子の7割が隠し持つ『ギャルマインド』研究~」(日経BP)、「なぜ君たちは就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか。」(共著、宣伝会議)。D&AD、Red Dot Design Award、One show、キッズデザイン賞など受賞。NPO法人エンカレッジ顧問など社外活動にも従事。

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