ショートドラマはプロモーション手法として定着するか?
TikTokが発表した2024年上半期のトレンド大賞で大賞を、通期のトレンド大賞で特別賞を受賞したのが「ショートドラマ」でした。SNSのタイムラインにショートドラマが流れてきたときに、「ついつい手を止めて見てしまった」ことがある人も多いのではないでしょうか?
この潮流の中で、すでに多くの企業が自社の商品プロモーションにショートドラマを取り入れ始めています。電通グループのデジタル総合エージェンシーであるセプテーニも、早い時期からこの手法に着目し、数々のプロモーション活用事例を創出してきました。
■セプテーニによるショートドラマに関する連載(電通報)
https://dentsu-ho.com/booklets/633
本記事ではセプテーニでショートドラマの事業プロデュースとプランニングを担当する江村雄一と村城太一、セプテーニのショートドラマのパートナーであるGOKKOの村田一馬が、ショートドラマのさらなる可能性と、プロモーションで活用するためのカギ、今後の展望についてお伝えします。
若年層にも圧倒的に“届く”、ショートドラマのリーチ力
ショートドラマの魅力は、その圧倒的なリーチ力にあります。質の高いコンテンツはオーガニックで100万回以上再生されることも珍しくありません。実際にセプテーニが過去に制作・公開したショートドラマの平均再生数は、1話あたり165万回にも上ります。
さらに、オーガニックでの再生は、アドブロックやYouTube Premiumなどの広告非表示設定をしているユーザーも含め、あらゆるプラットフォームでコンテンツを通じてプロモーションを届けられるという大きな強みを持っています。若年層のテレビ離れが進み、広告が届きにくくなっている現代において、コンテンツを通じて消費者との新しい接点を作り出せるのがショートドラマの大きなポイントなのです。

一方で私たちセプテーニは、ショートドラマを単なるリーチ力のあるコンテンツとしてだけでなく、より普遍的なプロモーション手法として確立する必要があると考えています。
リーチ力にとどまらないショートドラマの「効能」を最大限に引き出し、広告効果を適切に数値化することで、そのプロモーション効果を飛躍的に高められるはずです。
ショートドラマをプロモーションで最大限に活用する2つの鍵
ショートドラマをプロモーションで最大限に活用するための鍵として、特に重要なポイントが2つあります。
プロモーション全体を踏まえた上でのプランニング
適切な評価設計と施策評価
まずは1つ目のポイント、プランニングについて詳しく見ていきましょう。
ショートドラマ単体でもそのリーチ力による商品やサービスの認知向上が期待できます。しかし、並行してキャンペーンといった他の施策を行うなど、立体的な施策を設計することで、商品を認知したユーザーを「態度変容」まで導ける可能性が高くなります。
以前ご紹介した、日本航空(JAL)のショートドラマ施策事例は、ショートドラマとTikTokやX上でのキャンペーンを並走させることで、実際のCVにつながった好事例といえます。
■JALはなぜ縦型ショートドラマで成果を出せたのか? 1000万回再生の裏側
https://dentsu-ho.com/articles/9062
この“立体的なプランニング”の考え方は、コミュニケーションの側面はもちろん、メディアプランニングにおいても同様に重要です。例えば、下図のようにショートドラマ単体で実施した場合よりも、同じ時期にテレビCMとショートドラマを同時実施することで、両方に接触したユーザーのブランド認知がより向上することが示されています。

このように、単にショートドラマの施策を実施するだけでなく、商品やサービスに応じて他の施策や複数のメディアを組み合わせるといった立体的なプランニングを設計することで、より大きな効果を期待することができるのです。
次に、2つ目のポイントとなる評価設計と施策評価について解説します。
ショートドラマの再生数やリーチ数が、プロモーションKPIにどれだけ貢献するのかを的確に評価するためには、事前の目標設計が必要です。これをしておくことで、クリエイティブや施策の評価を正確に行い、PDCAサイクルを効率的に回すことが可能になります。こうした手法により、クリエイティブの改善はもちろん、施策全体の設計を見直すことで、費用対効果を格段に向上させることができます。
以下は、セプテーニが提唱する評価設計とPDCAサイクルのイメージです。


ショートドラマの「これから」~偶然の出会いを価値に変えるには
少し視野を広げてみます。数年前に「インフルエンサーマーケティング」が台頭し、企業主語ではないメッセージが消費者に受け入れられたことで、多くの企業がその手法を取り入れました。それは一過性の流行に終わらず、今やプロモーション手法として定着しています。
ショートドラマもまた、かつてのインフルエンサーマーケティングと同様に、新しいプロモーション手法としてその存在感を示し始めています。今まさに、この手法がプロモーションのスタンダードとして定着するか、あるいは一時的なブームで終わるかの岐路に立っていると言えるでしょう。
しかし、昨今のAIによってレコメンドがさらに最適化されていく世界において、ショートドラマが実現する「ついつい手を止めて見てしまう」ような、偶発的な商品やサービスとの出合いを提供する力は、今後ますます価値が上がっていくのではないでしょうか。
ショートドラマをプロモーション手法として最大限に活用することができれば、それはプロモーションにおける強力な武器を一つ手に入れることに他なりません。
そのために私たちセプテーニは、ショートドラマのクリエイティブな側面だけでなく、戦略的なプランニングと効果的な評価という側面からもアプローチを進めています。セプテーニおよび電通グループ各社では、縦型ショートドラマの制作からマーケティング活用まで一貫してサポートしていますので、ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
【ショートドラマの活用にご興味がある方はこちら】
Email:sss@septeni.co.jp 担当:村城
※掲載されている情報は公開時のものです
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著者

江村 雄一
SepteniJapan株式会社
セプテーニに入社後、大手クライアントのパフォーマンス広告のクリエイティブディレクションを歴任。マーケティング部門等を経て、現在はクリエイティブ領域の新規サービス開発に従事し、AIでのクリエイティブサービス開発等の実績を持つ。最注力分野として”消費者の心に響く”ショートドラマのマーケティング活用に取り組んでいる。

村城 太一
Septeni Japan 株式会社
セプテーニ入社後、パフォーマンス広告のクリエイティブディレクションを担当。その後、マーケティング部門に異動し、フルファネルでの広告コミュニケーションのプランニングに従事。現在はショート動画中心にコンテンツのマーケティング活用に注力している。

村田 一馬
株式会社GOKKO
2018年に日本航空株式会社に新卒入社。Webマーケティング部にてタイムセールやブラックフライデーなどの大型キャンペーンの企画立案、販促プロモーションを担当。2024年に株式会社GOKKOに入社。ビジネスプロデューサーとして、ショートドラマを活用したコンテンツマーケティング領域でクリエイティブ×ビジネスの融合を推進。
