5月から始まったオンライン動画学習サービスschoo WEB-campusとのコラボ企画「電通流デジタルマーケティング 」。
2限目は「デジタルマーケティングのためのコンテンツマーケティング 」と題して、昨今話題になっているコンテンツマーケティングの、特にデジタルマーケティングで活用できそうな側面についてお話ししました。今回は少しその復習をしたいと思います。
2限目のねらいは、デジタル上での情報発信やデジタルマーケティングへのシフトを模索している方々に向けて、コンテンツを起点とした情報発信、デジタルマーケティングの考え方についてお伝えすることでした。
まずPART1では、コンテンツマーケティングとは何か、について整理をしました。
コンテンツマーケティングとは「相手にとって有益で説得力のある情報を提供し、既存および潜在的な顧客に企業のビジネスにつながる行動を起こしてもらうこと」。
けれど実際は、定義は知っていてもどんな作業を実施していくのかといった捉え方は、人によっていろいろです。
コンテンツマーケティングって?
目的によって、捉え方はさまざまでよいのですが、デジタルマーケティングという課題を念頭に置いたときに、コンテンツマーケティングをどう捉え直したら良いのでしょうか。以下のように、大きく4つのポイントがあることをご紹介しました。
1)価値ある情報と思って目に留めてもらうコンテンツを発信する
2)そのコンテンツを見た人に行動を促す
3)デジタル上では人が行動することにより、データが蓄積されていく
4)蓄積されたデータを、コンテンツ戦略、マーケティング戦略に生かしていく
生活者のデータを蓄積するためには、「価値ある情報」だと思ってもらえるコンテンツを作ることが必要
PART2では、この捉え方をデジタルマーケティングの世界、すなわち「データドリブンのマーケティングにおいて、どうやって活用していけるのか」を説明しました。
1)見込み客の獲得:コンテンツを使って、見込みのありそうな人を連れてくる。
2)ロイヤルティ向上、ファン化、CRM:見込みのありそうな人や、いまの顧客と関係を築き、ロイヤルティを向上させる。そのための手段として、コンテンツを活用する。
3)刈り取り:購入の後押しとして、コンテンツを活用する。
4)送客:どんな情報にどんな順番で触れて、購入につながっていくか。顧客のコンテンツにおけるジャーニー、送客のシナリオを知るためにコンテンツを活用する。
5)キャンペーン:マスやデジタルのキャンペーンの一要素として、複数のコンテンツを企画配信していく。
データドリブンのマーケティングにおいて、どうやってコンテンツマーケティングを活用できるか
現段階においては、大きく5つの目的に活用できそうなことが想定されます。
ただし、日本でも、統合的なデジタルマーケティングが進化し、データを活用したマーケティング活動が当たり前になるとこのカタチもまた変化していくと思います。例えば、4)で見つけようとしているような、人々のコンテンツ接触のジャーニーはいずれ、業種によってある種のパターンが見えてくるでしょうし、5)のようなキャンペーンの補完的な役割も、キャンペーンのやり方が進化すれば変わっていくことでしょう。あくまでも、現段階に見えていること、として紹介しています。
最後のPART3でお伝えしたかったのは、コンテンツマーケティングを機能させるための視点です。
コンテンツマーケティングは、広告やマスマーケティングと非常によく似ています。
それだけに、最初に注意すべきポイントを意識しておかないと、無意識のうちに広告のときと同じような始め方、進め方をしてしまい、気が付くと「お金をかけてやってみたのに効果がよく分からない」「今後続ける意味が分からない」、という落とし穴に陥るリスクがあります。
ここに挙げたのはあくまでも、私が現場で感じるポイントに過ぎないのですが、今私たちが、現実のマーケティング環境の中でコンテンツマーケティングを実施しようとした場合、大きく三つの視点を意識して進める必要があると思っています。
コンテンツマーケティングを実施する際の三つの視点
①「クリエーティブ×データの視点」では、クリエーターとアナリストがタッグを組んでプロジェクトを進めることと同時に、それぞれのパートにおいて、以下のようなポイントや知見が必要になります。
コンテンツマーケティングの企画に必要なこと
コンテンツの分析で必要なこと
②「違うもの、という視点」においては、マスマーケティングとどこが違うのか、ダイレクトマーケティングとはどこが違うのか、を理解しておくことがポイントとなります。
コンテンツマーケティングを実装しながらも、そのときどきでマスマーケティングと同じ考え方をしていないか。ダイレクトマーケティングと同じやり方をしていないか。一歩離れて問い直してみることが重要です。
マスマーケティングとコンテンツマーケティングの違い
ダイレクトマーケティングとコンテンツマーケティングの違い
三つ目のポイントは、「プロジェクト運営の視点」です。
コンテンツマーケティングというと、どうしてもコンテンツを企画・制作することばかりが注目されがちなのですが、それと同じくらい、「コンテンツの配信戦略を実現すること」、「分析のプランを立ててPDCAを回していくこと」、さらには「体制を作って限られた予算の効率的な配分を考えてコンテンツの企画・制作・配信、分析作業を運用していくこと」、が重要です。コンテンツマーケティングの実施では四つの側面があることをお伝えしました。
コンテンツマーケティングに必要な四つの視点