相手が低モチベーションのときにこそ
インフォグラフィックが有効
櫻田:インフォグラフィック(IG)とは、情報をビジュアルで表現し、分かりやすく伝える手法です。今は情報過多になっている一方で、デバイスはスマートフォン(スマホ)が主流。少ない量で情報を分かりやすく伝える方向にニーズが移行していると思います。
秋元:少ない量だと、見た目はすっきりしますが断片的になりがちですよね。全体像と要点を伝えつつも、敬遠されない表現手法がスマホ時代に求められていると思います。
櫻田:IGをIGで説明しますね。
櫻田:ワンメッセージとストーリーのどちらを伝えることに適しているか、という軸がまずあります。もう一つは見る人のモチベーションの軸。モチベーションが高くないとだめなのか、それとも低くても自然に受け入れられるのか。私が今やりたいIGは、ストーリー仕立てで、見る人のモチベーションが低くても見てくれるもの。モチベーションが低い人に対してもストーリーを伝えたいというニーズが今ありますから。
秋元:メディア特性とも大きく関係しますよね。パソコンでは一画面上で多くのことを表現できますが、スマホはスクロールや動画の活用が前提になります。
櫻田:パソコンや新聞などで使われているIGは、ワンメッセージ寄りで見開き的な表現です。しかし、スマホなどのIGは、巻物や鳥獣戯画のようなストーリー性のある世界に近い。縦長マンガもそうですね。
櫻田 潤氏
データが好きではない人たちに、情報を分かりやすく共有させる
秋元:最近はセンサーなどデータを取得する方法が進化して、情報の流通量も大きく増えています。数字やデータは、みんなが共有して初めて有用なものになる。しかし、たいていの人はデータを見るのが好きではありません。だからこそIGが有効な表現手法になってきます。
秋元 健氏
櫻田:また、情報を伝達する場としての画面がさらに小さくなり、あるいはバーチャルリアリティー(仮想現実)など、表現先も増えていくでしょう。表現先の変化とデータの増大を考え合わせると、IGは絶対に必要という認識を持っています。用途は増えていくと思いますね。
秋元:役に立つ情報は増えているのに認知さえされない、という状況は往々にしてあると思うので、IGの持つ「引き付ける力」をもっと活用したい。IGをきっかけに、より多くの人に興味を持ってもらい、そこから深掘りしていってもらえるような展開がつくれると理想的です。