カンヌにはアワードやセミナーだけでなく、少人数制で学ぶ機会が数多く用意されています。
「See It Be It 」(見て、そして、それになる)もその一つ。昨年始まった女性クリエイター応援プログラムで、今回、幸運にも世界中から選ばれた12人の1人として参加しました。
そもそもなぜ女性なのか。統計によれば、世界の広告業界全体で女性クリエイティブディレクターの割合はいまだ3%。制度上は男女平等なはずなのに、30代を超えるとさまざまな理由で辞めていく女性が後を絶たないのだそう。市場の半数は女性、購買決定権を持つのは80%が女性だといわれる中、こうした現状を過度なフェミニズムに陥ることなく見詰め直し、どうありたいかを考えること。それがこのプログラムの趣旨です。
内容は、業界の第一線で活躍する人たちとのワークショップやセッションが中心。3日にわたり分刻みのスケジュールで、あらゆる人たちの話を聞き意見を交わすことができました。悩みや課題を共有しアドバイスをもらうメンターシップもありましたが、何より刺激的だったのは、参加メンバーの女性たち。作品集を片手に国境を越え、エージェンシーを渡り歩きキャリアを積んでいく。自分にはないその力強さと自由さがまぶしかったです。そんな彼女たちと議論し、こう結論付けました―女性うんぬんとかじゃなくて、いい仕事をしよう。それしかないね、と。