Metro Trainsという鉄道会社による事故防止キャンペーン。公共安全のメッセージなんかには耳を傾けない13〜25歳の若者を振り向かせるために、Tangerine Kittyという架空のミュージシャンの名前で、歌とアニメによるミュージックビデオをつくっちゃった。これがYouTubeで空前の大ヒット。この他、WEBサイト、ゲームやインタラクティブ屋外広告なども展開。学校の教育教材や絵本にもなり、3カ月(2012年11月〜翌1月)で鉄道の死傷事故が21%減少したという成果を達成。結果の数字もいいですけど、もっと若い子供たちにも伝えたいよね、みたいなことで絵本とか学校カリキュラムとかになっていくところが、副次的な活動も生んでいて、ほんと「いいね!」な感じです。
カンヌライオンズ2013にてPR部門ほか、史上最多となる5部門でグランプリを受賞。
■Bridge of Life(韓国)
サムスン生命による自殺防止キャンペーン。OECD加盟国のうち自殺率1位の韓国で、自殺の名所で「Bridge of Death(死の橋)」と呼ばれていた「麻浦大橋」を「Bridge of Life(命の橋)」としてよみがえらせようと橋のリニューアルを実施。バリケードを作るなどの“物理的な”取り組みで自殺を防ぐのではなく、コミュニケーションにより人の心を変えることを試み、橋の手すりに特殊なセンサーとLEDライトを仕込んで、橋を渡る人が歩くスピードに合わせてその真横の手すりに明かりが灯るようにした。それと同時に、不安や絶望している心を癒やすような言葉や、笑顔の子供やカップル、祖父母たちの幸せそうな写真が光の中に浮かび上がるようにしたってわけ。結果、自殺率を77%も減少させることに成功。今ではソウル市の観光名所となっている。普通、これって「ネーミング・ライツ」みたいなもんなんですけど、名前付けて、はい終わり、ではなく、きちんと能動的なブランディングに寄与してますよね。ソウル市からのオファーでこの後、その他の橋にも展開しようという計画が進んでいるってのもまたグッド!