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ホント、福岡は美味いもんだらけです。定番のモツ鍋、水炊き、ゴマサバはもちろん、なかなかアラ(クエ)鍋みたいなぜいたくはできないけれど、博多ラーメン、やわらかいうどんや福建炒麺。意外な焼き鳥王国だし、胃袋がいくつあっても食べ足りません。お土産もいろいろ目移りしちゃいますが、ぼくの定番は「鶏卵素麺」。

福岡で愛されている銘菓で、ポルトガルのレシピが南蛮貿易で長崎を経由して伝わったものなんだとか。今でも何軒かのお店で売っています。まったりコクがある卵の黄身と甘~~~い蜜がもう最高で、渋めのお茶との相性は抜群です。唯一惜しむらくは最近ちょっと元気がないように見えること。これだけ美味いものなのですから、単に完成品としてだけでなく素材の一つとして使えば、もっと可能性も広がるのに…なんて勝手なことを妄想しています。

たぶんこの鶏卵素麺と同じようなルーツを持つスペイン・アンダルシア地方の伝統菓子が「トシーノ・デ・シエロ」です。中世、特産のシェリー酒をクリアにするのに大量の卵白を使ったため、修道院の尼さんが余った黄身でつくったプリンが起源なのだとか。ふつうのプリンは全卵、牛乳、砂糖が基本ですが、これは卵黄と砂糖のみ。いまはやりのクリーム系ふわとろプリンとは違う、卵が強烈に濃厚な味わいです。

このレシピにしたがって群馬の「玉子屋やまたか」と開発したのが、たぶん世界一濃厚なプリン「天国のぶた」でした。とっても小さなプリンですが、おかげさまで昨年度のよんななクラブスイーツ部門売り上げ第1位。ご好評を頂いております。

「玉子職人がつくるにふさわしい商品を開発しよう」ということでスタートしたこのプロジェクトですが、次の標的を「エッグタルト」にしました。ぼくも好きで香港に行ったときなど喜んで食べるのですが、どちらかというと「タルト生地」のサクサクした食感や風味を楽しむタイプが多く、もっと「エッグ」を重視した商品があっても良いのではないか、と思ったからです。

まず取りかかったのは「エッグタルトってなんだろう?」。ホントはこのメニューの元祖といわれるポルトガルの首都リスボンにある「ベレン洋菓子店」まで行きたかったのですが予算も時間もなく、仕方がないので手当たり次第、お菓子屋さんやコンビニ、洋菓子店などで買いあさり、食べまくりました。

次に試作です。つべこべ言う前に、つくりながら「玉子職人にふさわしいエッグタルト」を考えよう、ということでした。実際にプロトタイプにしてみると「これはさすがにブサイク」「一見カワイイけど、卵の香りがしないからダメだな」「一個食べるには味が単調すぎるんだよなぁ」などなど、メンバー全員が感覚を共有しながら前に進めました。プロのパティシエである高山翠さんに素人がずいぶん失礼なことを申し上げましたが、結果、味に自信を持てる、ちょっと他にはないエッグタルトが出来上がりました。

これが、たぶん世界一濃厚なエッグタルト「天国のブタリーナ」です。トシーノ・デ・シエロのような濃厚ソースでしっかり卵を楽しめるだけではなく、その下にはカラメルが入っていてアクセントになっています。

今回もアートディレクターの工藤章子さんとコピーライターの岩田純平さん、デザイナーの西盛由紀さん、藤田優惟子さんがすてきなパッケージをつくってくれました。

こちらの方(←ポチっと)でお買い求めいただけます。よろしければ、是非是非。

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著者

山田 壮夫

山田 壮夫

株式会社 電通

明治学院大学 非常勤講師(経営学) 「コンセプトの品質管理」という技術を核として、広告キャンペーンやテレビ番組製作はもちろん、新規商品・事業の開発から既存事業や組織の活性化といった経営課題に至るまで、クライアントに「棲み込む」独自のスタイルで対応している。コンサルティングサービス「Indwelling Creators」主宰。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員等。受賞多数。著書「〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考」、「コンセプトのつくり方 たとえば商品開発にも役立つ電通の発想法」(ともに朝日新聞出版)は海外(英語・タイ語・前者は韓国語も)で翻訳・出版 されている。

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