川田:僕はラジオがこれから進む道って2つあると思っているんです。今のラジオのリスナーはタクシーの運転手やドライバーが圧倒的に多いんですが、TOKYO FMの「SCHOOL OF LOCK!」は若い人に人気です。あれは、ラジオの中に「学校」という今までなかったテーマを入れたからだと思うんです。お笑い芸人が校長先生で、ミュージシャンが講師で、そのブッキングの妙も効いてる。ラジオの中にないものって、まだいっぱいありますよ。もう1つは、「ラジオ的な存在」がもっとあってもいいと思っています。その場所でしか聴けないとか、場所ごとに違うものが聞こえてくるとか。文学的な史跡でもいいだろうし、地下鉄で移動中に通過地点にひもづいたものが聞こえてくるとか…。時間と距離にコンテンツをはめこんで、そこに行くことと聴くことが同時にあるということ。今のラジオにはできないけど、それはラジオ的な存在だと思います。
1975年神奈川生まれ。建築デザインを米コロンビア大学建築学科(MSAAD)で学び、2000年からニューヨークで活動を開始。その後Arnell Groupでクリエーティブとして活動し、2003年の越後妻有アートトリエンナーレでアーティストに選出されたのをきっかけに帰国。
その後フリーランスのクリエーティブとして活躍後、2006年にライゾマティクスを設立。建築で培ったロジカルな思考を基に、アート・コマーシャルの領域で立体・インタラクティブの作品を多数つくり続けている。2009~14年国内外の広告賞で多数受賞。現在、ライゾマティクス代表取締役、京都精華大学デザイン学科非常勤講師。
2013年D&AD Digital Design部門審査員、2014年カンヌライオンズBranded Content and Entertainment部門審査員。2015年ミラノ万博日本館シアターコンテンツディレクター、六本木アートナイト2015でメディアアートディレクター。グッドデザイン賞2015-2016審査員。