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もう一人の参加者、藤田くんの撮影

22時、広尾。長い長い打ち合わせが終わって、夕飯もまだだったので、後輩の奥村くんを「軽く、行く?」と誘ったら「先約がありますんで…あっ!山田さんも、ご一緒にどうですか?」と、焼肉屋さんへ。「みんな焼肉が好きだよなぁ。でもこの時刻からジュージューやるのは危険過ぎるでしょ。カルビとか胃にもたれるし、サラダだけでもいいか…」なんてぶつぶつ考えていたら、そこで待っていたのは満面の笑みでガンガン肉を焼き続ける先輩の武藤新二さんでした。

武藤さんと言えば最近『アタマの体質改善』(日本経済新聞出版社)を上梓。ウェブ電通報のコラムも絶好調。広告に限らず広くビジネスの現場で柔軟に発想し、アイデアや企画を考えるのに必要な方法をわかりやすく書いていらっしゃいます。

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目次に並ぶのは「毎朝、ラジオを聴く」「ランチをプロジェクト化する」「ネット動画に毎日触れる」「忘年会の店は『面倒』に選ぶ」「1日5本はコラムを読む」「会議の冒頭15分間は自由に話す」「『何もない日』をなくす」など、特別な時間を必要としないトレーニングの数々。たとえばラジオは情報の限られたメディアなので、それを活用して想像力を刺激しよう、といったことが紹介されています。正直、ぼくはものぐさなので全部を習慣化するのはとても無理なのですが、読んでいると武藤さんとおしゃべりしているようで、不思議と元気になれちゃいます。

実際、武藤さんは社内でも屈指の「雑談上手」です。豊富な話題はもちろん、明るく爽やかなキャラクターと絶妙な相づち、大きな笑い声で相手を気持ちよくさせます。以前、プレゼンを拝見したことがあるのですが、冒頭に発揮されたのがこの雑談力でした。その時の企画書は、たしか100ページ近く。ぼくだったら挨拶もそこそこに早く説明したくてウズウズしちゃうのですが、武藤さんは見ているこっちが心配になっちゃうくらい快活にクライアントと談笑。実際にプレゼン内容がスタートしたのは、かれこれ15分はたってからでした。でも、その結果は上々。なにより先方の担当者から絶大な信頼を勝ち得ていたことを思い出します。 

その時も「なんてアタマの運動神経がいい人なんだ!」と感嘆したのですが、この本を読んで、武藤さんは日々その能力をきちんとメンテナンスしているのだと知りました。

武藤さんの提唱するトレーニングも、雑談も、そこに共通するのは「決まりきった日常(ルーティーン)からの逸脱」です。アイデアの材料となる多様な知識を得るために、そしてその知識を「その手があったか!」のアイデアに昇華させるために、たしかにそれは必要なことです。

勝手な思い込みですが、クリエーティブに考えるのが得意な人は観察眼が鋭い分、どこか根暗で意地悪な傾向がある気がしています。今回『アタマの体質改善』を読んで、武藤さん流の「陽気で爽やかな発想法」の一端がわかりました。

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お嬢ちゃまと遊ぶ武藤さん

結局この日、広尾のお店を出たのは深夜2時。最後まで武藤さんは明るく楽しく焼肉を食べ続け、最後はカレーで〆ていました。あれで太らないって、どういうことなんだろう?

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さて。次回は連載50回目。そもそも創立して何周年だろうが、連載が何回目だろうが、そんなこたぁお客さまに関係ないことだと重々承知しておるのですが、勝手にお祝いの宴をいたします。その結果報告を(お酒で曖昧な記憶をたどりつつ)お知らせしようと思います。

どうぞ召し上がれ!

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著者

山田 壮夫

山田 壮夫

株式会社 電通

明治学院大学 非常勤講師(経営学) 「コンセプトの品質管理」という技術を核として、広告キャンペーンやテレビ番組製作はもちろん、新規商品・事業の開発から既存事業や組織の活性化といった経営課題に至るまで、クライアントに「棲み込む」独自のスタイルで対応している。コンサルティングサービス「Indwelling Creators」主宰。2009年カンヌ国際広告祭(メディア部門)審査員等。受賞多数。著書「〈アイデア〉の教科書 電通式ぐるぐる思考」、「コンセプトのつくり方 たとえば商品開発にも役立つ電通の発想法」(ともに朝日新聞出版)は海外(英語・タイ語・前者は韓国語も)で翻訳・出版 されている。

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