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新型コロナウイルス感染抑止のため、パソコンを使った在宅勤務(テレワーク)の拡大が進んでいます。

最初は戸惑いながらも、「通勤時間がなくなる」「人の移動にかかわる労力が省かれる」「個人の時間の自由度の向上」など、テレワークならでは利点に気が付いた人も多いでしょう。 

一方で、限界も感じられます。リモート環境下では、パソコンの画面と音声という限られた情報だけでのコミュニケーションになります。時候のあいさつ程度なら問題ありませんが、対面で得られる感情の交流や、あうんの呼吸が失われるため、新規提案、問題提起など、相手にとって既知ではない複雑な情報を伝えるときは、なかなか苦労するのです。

その結果、社員が相手に複雑なことを伝えようとするモチベーションが目減りし、テンプレ的なコミュニケーションに終始しがちになり、お互いに見えない壁のようなものが感じられるようになっていきます。

定型的な仕事だけなら、テンプレ的なコミュニケーションでもよいかもしれません。しかし、「感情の交流や、あうんの呼吸の中から、チームが能動的に新しいプロジェクトを立ちあげる」などの動き、つまり「ゼロを1にする動き」が減っていくリスクは、企業にとって無視できないでしょう。 

多くの会社機能がリモート化されていくにつれ、プロジェクト開発のために社員が集い、リアルでディスカッションし、チームの一体感を醸成するための場としての“求心力”が、社屋には求められるようになるはずです。 

そして将来的には、リモート化によって減少する、社員と社員の直接的な交流を補完するため、本社機能を避暑地や景勝地などに移転する“リゾート本社”を構える企業が増えるかもしれません。

リゾート本社イメージ

テレワークに慣れた社員にあえて出社を促し、かつ創造的なアイデアを生み出すことを期待するなら、社員がリラックスし、チームに一体感を感じさせる、リゾートホテルのような環境が最適です。 

都市の一等地に本社があることは、企業のステータスでしたが、社員がどうしても出社したくなるくらい魅力的な場所にオフィスを構えることが、未来の企業の価値となっていくかもしれません。


未来予測支援ラボ:http://dentsu-fsl.jp/

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著者

小椋 尚太

小椋 尚太

株式会社 電通

新聞担当を経て、通信事業社・外食レストランチェーンのAE(アカウント・エグゼクティブ)担当として、さまざまな広告キャンペーンの立案に関わる。メディアプランナーとして活動の後、2016年から「電通メディアイノベーションラボ」に所属。テレビからソーシャルメディアまで、最新のメディア利用インサイトの掘り起こしと情報発信に携わる。2019年から「未来予測支援ラボ」代表、2021年7月、「未来予測支援ラボ」で開発した知見を発展させ「未来事業創研」を設立。未来視点の新規事業・新商品開発の支援を行う。2021年11月、消費者研究プロジェクト「DENTSU DESIRE DESIGN」立ち上げ。欲望インサイトによる消費活性化ソリューションの開発に取り組む。著書に「情報メディア白書2018」「情報メディア白書2019」(ダイヤモンド社、ともに共著)。

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